azusatokohaの日記

人生ラバーダッキング会場

日常系はもう流行らんのか?

最近「生活・人生の肯定」って大事だなーと思ったので、人生を肯定したい!

この前ふと「きんいろモザイク」のOP/EDを聞いてて、こういう日常系作品って「大きな挑戦や試練はないけれど、賑やかな日常が送れるということの肯定」みたいなのがテーマとして挙げられそうだなーと感じたので。

日常系って挑戦や試練が無いとはいえ、置かれている日常のというのは色々な選択とか、あるいは制約が加わっている結果ではある。きんいろモザイクであれば忍がホームステイに参加した結果としての日常があり、それは全てが自身の意思という訳ではないかもしれないけれども、それを肯定して、その日常の中にある幸福に目を向けよう、みたいな。

SNSがあることが当たり前になって、人生の成功例みたいな情報が洪水のように流れ込んでくる世の中で、自分の選択や過去の行動が正解ではなかったのかもしれないけれども、目の前の日常を肯定して楽しんでいこうというメッセージ性は今だからこそ刺さる層あるんじゃないか?とも思う。もしかしたら説教的すぎて最早辛さがあるのかな。

まあきんいろモザイクの映画2作含め、新しい作品を見たり出来ていない状態をあまり肯定するのもどうかって話なんですけどね

ロケット打ち上げのカウントダウンで秒数じゃなくて手順名とかイベント名を読んでくれるのが好き

タイトル通り

www.youtube.com


05:29 Launch is GO.
06:03 3, 2, 1, Mark. T-5min and counting.
07:17 (T-3:30) Final test of the flight control surfaces are under way.
10:35 (T-0:30) Go for auto sequence start.
10:55 (T-0:10) Go for main engine start.
11:05 (T+0:00) Booster ignition, and lift off!
11:37 (T+0:32) Throttle down
11:50 (T+0:46) Passing max Q
12:07 (T+1:03) Go for throttle up.
15:03 (T+3:58) You are negative-return.

まんがサイエンスの影響かな?やっぱり盛り上がるのはブースターイグニッション!だけど、メインエンジンスタートも好き。良いよね~~~

コールアウトの良さで言うと、飛行機の離陸時、 Positive rate も良いけど、 (Now) Airborn も捨てがたいかな~~~

かっこいい手順って良いよね


そういえばちょうどH3の打ち上げだった。

www.youtube.com

1:22:18くらいから
1:22:45 (X-0:05) All systems are GO for launch. → Main engine start. → Solid booster ignition, and lift off!

英語のコールアウトは正直初号機が流暢で良かったなあ

www.youtube.com

0:59:28くらいから
0:59:55 (X-0:05) All systems are GO for launch. → Main engine start. → Solid booster ignition, and lift off!

ストゼロ文学の集大成に触れる

この前アサヒがストロング系チューハイを撤退するということで、インターネットが盛り上がった。個人的にはストロングよりも日本酒が高効率かつ趣があると思っているので影響はない。

で、すげぇ名文を見つけたので書き留めておく。

toyokeizai.net

前半はまぁ、お酒好きな人がストロング系と出会い、寝酒とドカ食いでしあわせ就寝してるだけなんだけど、しばらくすると狂い始めてくる。4ページ目でアルコールへの耐性が付き始めると、1日5缶のストロングを丁寧に選んで飲み干す生活に突入。

お酒の好きな味を求めて、いろいろな銘柄を試したり、あるいは遠出してみたり、というのは酒好きとしての形のひとつだと思う。ワインであればフルボディがなんだ、何地方のうんたらがなんだ、あるいは日本酒であれば甘口だ辛口だと丁寧に選んで色々試す人は多い。

やってることはスイーツ好きと変わらない。やれどこのブランドの何が美味しい、あれが繊細な味わいだ、これが見た目も美しいとやるのと同じだろう。でも選んでるのがストロング系なんだよな、ここが無性に"ズレてる感"があってまず面白い。

ストロング系ってそんなに慈しむというか、愉しむものだろうか?記事にある通り、一般的には「アルコールを大量に、それでいて甘味料で舌に優しく、コスパ良く摂取しましょう」という目的のモンだと思う。先のスイーツで言えば、どれだけ砂糖とクリームを一度に大量に摂取できるか、という世界だろ。

そしてスマートフォンにインストールしたという沖縄県の飲酒量記録アプリ。ストロング5缶のアルコール量をぶち込むと、シーサーは昏睡期として「小便を垂らしながら、白目をむいて倒れて」いるという。一見健康を気にしているようだが、実のところこれも日々の飲酒量を把握して節制するというより、いかに効率よくシーサーに小便ぶち撒けさせるか、というゲーム感覚に拍車を掛けている気がする。「筆者はこのシーサーに毎晩150g以上のアルコールを飲ませていた」←お前が飲んでるんだよ

私にはこのアプリの存在が、この記事にシュールさをもたらすひとつの要素に思える。シーサーが昏睡している通り、耐性がなければ命の危険すらあり得るアルコール量を摂取している。それなのに筆者はこうでもしないと眠れないと、毎日のようにその量を取り込んでようやく眠りについている。アプリの内と外で、「死の危険」と「生きる術」が同じアルコール量で隣り合っている。対比構造が美しすぎる。

更にコロナ禍に入り、更に飲酒量が壊れていく。仕事終わりの5缶が6缶になるのはまだ理解できるんだけれども、その次のステップが

出社が許可されるようになると、昼間に3缶ストロング系を飲みながら出社して、夕方に休息がてら勤務先周辺を歩き回りながら3缶路上飲み。

おかしくないか?普通、寝酒から連続飲酒へ至る過程って「昼間に飲酒して、あまつさえ酒が入った状態で出社するのは如何なものか」、という葛藤とドラマがあって然るべきだと思うのだけれども、この記事にはそんな描写が無く、1パラグラフで連続飲酒が始まっている。このスピード感凄すぎるな、もはや酒のせいでこの時期の記憶が欠落しているのではないかと疑ってしまうレベルだろう。

そして、帰り道にまた3缶飲みながら帰路につく(飲み歩きしやすいように、冬場はジャケット、夏場は胸ポケットが2つあるシャツを好んで着るようになった。なぜなら、補充の缶はポケットに入れたまま歩けるからだ)。

両胸ポケットストロング缶in飲み歩きマンが自然に完成している。やっぱこの辺りのスピード感おかしいよ。絶対酒のせいで記憶飛んでるんだって。

筆者自身も指摘しているが、この時点で何よりも、仕事はもちろん例えば「おしゃれな服装で居たい」などというちっぽけな欲求よりも、飲酒にどれだけ適しているか、いかに飲酒までスムーズに繋げられるか、という観点がすべての価値判断基準になっている。

効きの強い薬物は、その圧倒的な効果(と同時に圧倒的な離脱症状)によって薬物への欲求を全てに優越させてしまう、三大欲求すらも超越した欲求に据えてしまうと言うが、その片鱗が見えるともいえる。

さらに、家でもまた飲むのだから、1日にもう一体自分の体内にどれほどのアルコールが入っているのかすら、わからなくなってしまった(アプリのシーサーはとっくに倒れている)。

ここで興味深いのが、きちんと律儀に「うちな~節酒カレンダー」を入力している所だ。1日5缶の時点でシーサーは昏睡しているんだから、それ以上入力する意味も無いように思うが、もしかしたら昏睡期のその先に「死」とか隠し要素があると思っていたんだろうか?その答えはたぶん次の一節に示されている。

アルコール依存症の病院を紹介された。正直、「ようやく、この生活が終わる」と思って内心ホッとした。誰かに止めてほしかったのだ。

ついに病院送りになったわけだが、この時点で「昼間でも酒を飲まないと吐き気とめまいが止まら」ない状態であったにもかかわらず、ホッとしたという。以降断酒という宣告をされていながら、吐き気と眩暈の心配ではなく、ようやっと酒から離れる事が出来るという安心が勝っている。

思うにこの意識が、シーサーに律儀に飲酒量を記録し続けていた原動力であるのではなかろうか。流石に仕事中もアルコールが入った状態を継続し、朝昼晩とストロング缶を入れ続ける状態に、言ってみれば何かの大きなきっかけがあったわけでもないのに突入してしまっている。ずるずると引き返せないと思えるような地点まで来てしまっている。そこからの救いを、シーサーに求めていたように見える。

つまり、シーサーの昏睡と同じ量のアルコールが、自らの体内にあるという事をひとまず意識しようと飲酒量を記録してみるものの、今自分自身は生きているし、むしろ酒を飲まない事には生活が成り立たない程になっている。その現実をアプリの画面を通して、どこか他人事のように冷静に眺め、このままではいけないと気付きつつも、アルコールに溺れたきっかけが曖昧なのだから抜け出すきっかけも定かに見出すことは出来ない。たとえば何かの悩みが除去されたからと言ってアルコールから抜け出せるような明確なゴールというものは定まっていない。出来る事と言えば只、飲酒量をルーティンのように記録しながら救いを待つのみだったのではないだろうか。

それを示すように、健康診断と受診勧奨を以て断酒に成功している。

これまでの生活がたたってか、今は毎晩350ml缶のアサヒのノンアルコールビールサントリー「のんある晩酌 レモンサワー」、コカ・コーラ「よわない檸檬堂」、サントリー「ノンアルでワインの休日」の計4缶で睡眠薬を流し込むのが一日の楽しみである。

いや成功してないわ。やっぱ病気だよ。

My new gears...

しばらくブログでは触れてなかったんだけども、内なるガジェットオタクが顔を表したので、まとめて My new gear… しようと思う。

ブログで触れたガジェットオタクの自分用まとめ
スマホ Google Pixel5Mode1 GRIP → Unihertz Jelly2 → Mode1 RETRO Ⅱ → ASUS Zenfone 10
イヤホン final ZE3000 → RHA MA650 → Technics EAH-AZ80
スマートウォッチ Garmin vivomove 3 → Google Pixel Watch

特にスマホを死ぬほど乗り換えてるんだよな。Mode1 GRIPが通信があんまり安定しない感じだったり、DuraSpeed起因っぽい細かいストレスが溜まった後、ブログに書いた要件表を眺めながら新しいスマホを探していたら、Jelly2 というのを見つけたので飛びついてみた。de

いやー最高でしたわ。下の要件をすべて満たして、3インチという超小型さですからね。(できれば)にしていた「バッテリー容量」「短辺640px以上」「まあまあのカメラ」はある程度犠牲になるものの、3インチのスマホにそこまで求めないですからね。(バッテリーが一日持たないのはちょっと辛いけど)

Jelly2はガッツリ握れるサイズ感なので、手のひらの中に欲しい機能がきちんとある、という感覚になれる。ゲームとかするなら厳しいかもしれないが、ウェブサイト見たり電話・SNSくらいの用途なら全く問題なかった(表示サイズは調整してたけど)。あ、でも𝕏(旧 Twitter)の公式アプリは、タブの表示サイズが大きくて1画面での情報量が足りなかったな。

弱点としては以下の通り

  • バーコード表示するときに画面が小さすぎて読み取りづらい、特にポイントカードの縦縞バーコード。店員さんがびっくりする、笑われるくらいならいいけど、変に手間をかけさせる。QRコードは比較的平気
  • ゲームする用途にはたぶん向かない、GREE・モバゲー的なポチポチゲーならいいんだけど、音ゲーとかFPSとかの現代的なゲームは厳しいと思う
  • 無邪気な子供に「あの人のスマホちっちゃいー」って言われて「シッ見ちゃダメ」される (n=1)

その次に Mode1 に出戻り、 Mode1 RETRO Ⅱ というガラケースマホを買った。こんどは新品で買った。これはガラホまで機能を制限していないガラケーAndroid。三大キャリアのガラホではPlayストアも無いなどかなりAndroidとしての機能性を制限しているところ、 Mode1 RETRO Ⅱ ではある程度生のAndroidなので使いやすかった。

Mode1 GRIP で経験したSW完成度問題(APN設定の消失、明るさ設定のバグなど)は結構ましになっていて、特にカメラのシャッター音はかなり常識的な音量になっていたので良かったが、下記がマッチしなかった。

  • 文字入力方式で、ぼくはau方式?なのか「0」に「わをん+記号」で、「#」が「1字戻す」を期待していたんだけれど、 Mode1 RETRO Ⅱ では「0」に「わをん」、「#」に「記号」の割り当てになっていたので、期待するガラケー打ちが出来なかった
  • Android用のボタン(戻る・ホーム・全タスク)が、ガラケーボタンに並ぶ物理ボタンとして配されており、純粋なガラケー配列ではない
  • ガラケーの時にウェブサイトで「1を押すとホームへのリンクとして機能する」みたいな機能があったんだけど(「イージーフォーカス」というらしい)、それが機能するかと思っていたらダメだった
  • というかモバイル版 Chrome との相性があまり良くなく、アドレスバーへの文字入力時に「文字種切替」と「Chromeのページ内検索」が競合し、ウェブ検索の利用感が悪い

で最後は上の画面部を鷲掴んでフリック入力したりしてたので、「あれ、これ下半分要らんくない?」となった次第。

あ、一応これはFelica非対応だったんだけれど、PASMOは物理に戻り、QUICPayを Pixel Watch に入れたので、携帯本体は普通の (Type A/B の) NFCで良くなったので問題ではなかった。


ここでASUS Zenfone 10 に流れ着くことになった。Jelly2 では3.0インチ、 Mode1 RETRO Ⅱ では3.5インチだった画面サイズが一気に5.9インチになり、値段も2~3万円から10万円前後に跳ね上がり、劇的な変更となった。

だって最早どこを見ても4インチ台のスマホなんて無くて、画面サイズが小さい順に見て良さそうなのがこれだったから…

いやしかし高いのってのは高いなりに良いって思っちゃうね。Zenfone 10 で気に入ってるのは下記の辺り

  • やっぱりSW完成度が高い、意図と異なる動作をする事が無い。というか不随意に変な動きをしたりが無い。値段は品質だと感じるね
  • 片手モードとして、小さなウィンドウでアプリを動かすことが出来る。個人的にはこれが購入の決め手だったな。事前に決めたアプリに限られるものの、きちんと片手で操作できる。
  • 電池持ちがクッソ良い。帰ってきてまだ50%あったりする。むしろ継ぎ足し充電になってバッテリーに悪いんじゃないかと心配になるレベル
  • ステレオスピーカー搭載。ステレオスピーカーってタブレットだけじゃなかったんだ。個人的にはこれ気付いた時結構感動した。
  • 指紋認証が早い。まだ新品だからかもしれないけど、前2機種ではかなり意識して指紋センサーをなぞるイメージだったけど、これは何気なしに電源ボタン押せばすぐに認証される。逆にロック画面で時計見たいときに困るレベル。(Pixel Watchを見よう)

やっぱり値段なりというか、かなり良い体験が出来ているんだけど、それでも週2回くらいは「いやでけぇな」て思ってしまうので、「いやでけぇな」が爆発したタイミングで Unihertz Jelly Star とか買うかもしれない。


ついでに RHA MA650 から Technics EAH-AZ80 に変えました。あまり動機らしい動機は無いんだけど、なんか左右で音量差?が出てきたような気がして、軽ストレスだったので。

で、 MA650 の記事でも書いたんだけど、その前に使っていた final ZE3000 が人混み(駅とか)で同期ズレを起こしていたイメージが強かったので、今回も非完全無線イヤホンを探しにヨドバシへ行ったところ、全く無いのね。全部フルワイヤレスでびっくりしちゃった。

色々聞き比べて、あとは別のスマホ近づけて同期ズレしないか試したりしたところ、全然大丈夫だった。 Bluetooth のバージョンアップとかでその辺りも強くなったのかな。そして、聞き比べるとやっぱり上位モデルが良いよな~となってしまい、買いました。

今回はイノタクの「3時12分」「Yona Yona Journey」をベンチマーク音源にして色々聞き比べたけど、やっぱりイヤホンは Yona Yona Journey の "Welcome to Yona Yona Journey" の入り部分でどれだけ気持ちよくなれるか、サックスの入りまで気持ちよくなり続けられるかですよね。 EAH-AZ80 も高いだけあってもうすんごい気持ち良い。

あれ?最近なんか高いの買えばいいじゃんってなってない?破産するよ?

エタノールの目的外使用

だだいま被災地で極限状態です。

手元に99.5%と80%の消毒用エタノールがあって、
80%を飲むことに(w しました。

トップバリュの40%焼酎と味は変わりませんねぇ...

投稿: ほんだら | 2011年3月15日 (火) 17時34分

純度99.5%のエタノールを飲用してはいけない訳 - 研究と教育と追憶と展望 露本伊佐男のブログコメント欄より

これはインターネット重要文化財だろ。2011年3月15日といえば言わずもがな、東日本大震災の直後。「被災地で極限状態です」という状況下で、インターネットに辛うじて繋がった時に、どうやって飲用できるエタノールを確保するのか腐心していた被災者が居たという事実。これはインターネット重要文化財だろ。

ブログの趣旨としては「 99.5wt% の無水エタノールは、純度を高めるために微量のベンゼンを添加しているので、飲むのは良くない」というもので、コメントの「80%消毒用エタノール」はむしろ塩化ベンザルコニウムとか添加されていて有害なんじゃないかという気もするが。

しかし、それだけこの投稿者はアルコールのない世界に追い詰められており、おそらく避難所の衛生を保つための消毒用エタノールに手を出さざるを得なかった。そういう娯楽のない「極限状態」になってしまう。災害は一般の生活者を突然に極限状態へと追い込んでしまうので、被災地における備蓄とか物資に頼る事となり、それは生存に必要最低限の物資だけが入手できる(あるいはそれすら入手できない)娯楽のない状況を意味する。

だからといって行政の備蓄品に一升瓶を詰め込みまくるのは難しいかもしれないが、インターネットがある程度普及した段階で起きた災害のタイミングで、インターネットに書き込まれたコンテンツから、被災者支援のあり方みたいなのを研究する、みたいな取り組みもアリな気がする。特に最近になってUGCの検索性・永続性がガタ落ちしてきたから。

それにしたって「トップバリュの40%焼酎と味は変わりません」は笑うわ

津軽線はやっぱ廃線しちゃうんかねぇ

北海道新幹線の開業遅延と言われ始めたが、北海道新幹線と同じルートを通る「函館本線の山線」は採算が取れないとして廃止が決まっている。鉄オタは当然廃線になる事を嫌がって、決定した北海道を様々な様態でdisっている。インターネットは美しい。そこで槍玉にあげられるのが、JR石勝線から夕張市まで伸びていた「夕張支線の攻めの廃線」である。

夕張支線は、石勝線という特急列車も多く走る路線からちょろっと伸びる盲腸線なので、夕張市までの需要が路線の需要だった。という事もあり、夕張市の意向で廃線にできる(もしくは、配線にしないという事は夕張市の意向が重要であり、負担も求められる可能性が高い)特性の路線ではある。それを廃止し、攻めの廃線としてバス転換、定員の少なさを便数でカバーする増便策で利便性も向上させた。

しかし2024年問題・働き方改革を見据えたドライバー不足と高齢化で、バス本数を維持することが難しくなり、攻めの廃線が未来を見据えぬ失策だったと鉄オタが嬉々として叩いている。

夕張市の事例は、ひねくれた言い方をすれば地方自治体による民業への介入と言える。JRに対して入っていた利益を廃し、バス事業者に振り向けたという見方が出来なくもない。バスがそこを走らないのは「民間事業者の競争原理によって、鉄道に対しての優位性を見出さなかった」からなのに、民間(つっても元国鉄だけど)の鉄道を廃止させることでバス事業者に対して利するように仕向けた…というストーリーを語る事が出来そうだ。

でも、地方自治体の元来の目的は、その地方が抱える様々な特性や需要、そして課題に対して、持ちうるリソースを基に解決していく事が求められている。それは、誰しもが希求する権利を持ちうるべき生存権は言うまでもなく、モノの入手性や移動の権利といった地域住民の利便に対する便宜も対象になるだろう。

では地方自治の正解は「品ぞろえの悪い商店街を全て廃し、国道沿いにロードサイド店舗とイオンを誘致すること」だろうか?それは一つの可能性かもしれないが、真に考えるべきは街に並ぶ商品の種類数ではなく、住民の求める機能的・非機能的両面の需要に対する対応度であって、正解は地方自治体こそが知っている性質のものになると思う。

もちろん地方自治体が抱える地域によって需要は異なってくる。千代田区は全域に道路や地下鉄などが張り巡らされて、自然人・法人問わず住民も多くいるだろうが、東京都にとってそれは全域に広がる風景ではない。東京都は足元の23区の整備・需要満足は大事だが、だからといって奥多摩方面や島しょ部を切捨てられる訳ではない。

自治体間で意見の対立があることは自然であり、それを取り持つのがより大きな単位の自治体の役目として求められている面があると思うけれど、現実にはそれが果たされていると言い切れない場面もある。鉄道の話が続くが、JR津軽線は被災不通となった後、沿線2自治体の廃線同意に対する意見対立が続いていて、青森県が間に入るというよりも、JRが代替交通機関の提案などを主体的に行っているように見える。

JRはそもそも鉄道沿線のバス・タクシー交通に対して事業を始めようとしていて、そちらに転換し切る事を推しているらしい。いっぽう自治体としては鉄道による移動利便性というある種の神話を捨てきれていないようにも見える。こうなるとJRとしては採算の取れない路線であることとバス転換後の利便性を数字を以て示していくしか無いのだろうが、なかなか同意が取れていない。

こういう状況になると「嫌だという感情を数字で押し込める」みたいな構図になってしまうので、自治体が地域の需要を機能的・非機能的に言語化し、それを実現できる民間事業者を自ら取捨選択していく体制が必要なように思える。我田引水とは、田に水が必要であるという需要を理解してはじめて、我に利する行動が出来るものなのだから。

警視庁による防災の日の通行止め訓練を勝手に見学してきた

関東大震災から丁度100年ってことなので、自身の防災意識を高めるためにも、警視庁がやっていた防災の日の通行止め訓練を、勝手に見学してきた。いざ震災が発生した時に、都心方向への車両流入を防止して、緊急交通の確保をする狙いがあるはず。

法律的には災害対策基本法第76条に法的根拠があり、実際に災害が発生していない場合であっても訓練の為の車両通行止めが認められている。また同法を援用する形で武力攻撃を受けた際等に、国民保護法に基づく車両通行止めも規定されている。COVID-19対策のロックダウンに際して、自粛要請よりも強制力のある手段として採用されるのでは、という噂があったな。

どんなもんかなーと軽い気持ちで交差点に着くと、結構な数の警察官と、防災訓練協力ボランティアなる人たちが待機していた。事前に車線規制の為の広報ハイエースも位置についていた。

10:30 規制開始

広報ハイエースのマイクパフォーマンス開始を合図に、信号機の動作モードが防災対応のサイクルに手動で切り替えられ、カラーコーンと規制看板で交通規制が開始された。事前に警察官が配置され、ニンジンで誘導しているおかげか、あまり混乱なく規制が開始されたように見えた。

規制標識 302 車両通行止 に「災害対策基本法に基づく車両通行止」と付記された規制看板。訓練のマグネットと、活字による対象・区間・期間が表示されている

見に行った大原の交差点は、甲州街道にアンダーパスが整備されていて、そちらも併せて通行止めとなっていた。なので本線2車線+側道2車線の交通容量が、側道2車線のみにまとめられてしまい、後方を見ると結構な渋滞の状況。信号サイクルのうちに右左折できた車両数がどうしても少なく、伸びてしまったんだろう。

甲州街道の大原アンダーパス(上り本線)交通規制の様子(10:39頃)。連続立体交差の本線2車線と、井の頭通り交差点からの側道2車線が、すべて大原交差点側道2車線にまとめられるため、交通容量が非常に厳しい

そうなると、この交通規制の主目的としては道路内の自動車を減らして緊急自動車の円滑な走行を可能にすることだと思うんだけれど、規制の外側(環七)ではむしろ渋滞を誘発しかねないように思える。今回はあくまで訓練なので、「自動車は左路側に停めて、エンジンを切ってキーを抜かないで避難しろ」とまでは言えなかったけれど、いざ震災発生時に同じことが起こっても困る。

日頃から警察と自動車運送事業者間で、震災発生時に自動車の使用を中止するよう求めるとか、あるいはコインパーキング事業者、ビルの立体駐車場なんかも含めて、単に「料金を請求しないという同意を得る」だけでも良いので、いち早く道路上の自動車を減らせるような計画が必要に思える。とりあえず道路上から消す、という事を如何に柔軟に実施できるかが問われるのではないだろうか。

甲州街道の大原アンダーパス入り口付近、渋滞の様子(10:39頃)

あとは今回訓練という事で、事前にすべて段取りして規制看板もカラーコーンも人員も車両も持ち込んでいたけど、震災発生時にどれだけ段取りが取れるのか。人命救助とか火災対応を念頭に置くと、発災からごく短時間で規制実施に持ち込まないといけないようにも思うので、今回のように潤沢な対応人員が割けない事を考えると混乱は発生してしまうんじゃないか。

そしてこの交通規制の可能性について、免許更新の時のパンフレットに書くだけでは忘れるドライバーも数多いだろうから、本番で細かい説明をしなくて済むような事前の教育。いろいろ課題はありそうなので、頑張ってください。