azusatokohaの日記

人生ラバーダッキング会場

カーシェアリングで私たちが黒字を出すことは可能か?

カーシェアリング」というサービスがある。レンタカーよりも手軽に、車を借りることができる、まあ簡易レンタカーみたいなもんだ。ネット(スマホでも)でチョイっと予約して、ピピッで乗って、ブーンで走ってく(頭悪い書き方してんな)。月1回でも車に乗って、なおかつ1回の利用が短時間であるほど勧められる。写真を撮ろうと重い機材持って行くにも苦が無い。自動車だから深夜の夜景もバッチリだ。

さて、いかにカーシェアリングがお得かについて、私は具体的な数値を用いて論理的に述べる必要があると感じる。ゆえに、以下の命題について議論してみよう、というわけだ。

カーシェアリングで私たちが黒字を出すことは可能か?」

細かく説明していく。まず、黒字を出すとはどういうことか。その理解のため、まずはカーシェアリングの料金形態を確認していこう。

基本的には、月額料金が発生することになる。しかし、これについては毎回の利用料金から割り引かれるため、月1回でも使えば殆ど考えなくて良い。実際に車を使う時に発生する料金は、時間単位で課金される。そして、ここからが重要なのだが、この利用料金にガソリン代が含まれる。給油料金を考える必要が無いわけだ。

察しの良い人はお分かりかもしれない。つまり、走行によるガソリン代が、利用料金を上回った時、私たちはカーシェアリングで黒字を出せるわけだ。利用料金は、短時間であれば各社1時間に800円程度である。

さて、以下の議論のため、まずは黒字の定義をはっきりとさせておこう。

黒字…燃料額が負担額を上回った場合
負担額…カーシェアリング利用料金、および車両の利用のために支払われた経費(高速料金代、駐車場代等)
燃料額…カーシェアリング利用中に消費した燃料の購入額。議論を簡単にするため、ここでは1L=140円と定めよう。

さて、まずカーシェアリング利用料金1時間分、つまり800円にあたる燃料の量は、およそ5.7L。つまり1時間に5.7Lの燃料を消費できる運転をすれば、黒字化となる。ここからは、時代に逆行して、燃費の悪い走行法を考える番だ。

では、燃費の悪い走行とは何をすればいいのか?単純に考えるならば、燃料のエネルギーを必要以上に喪失させればいい。言い換えると、発進したり止まったりを繰り返しながら、ブレーキで速度を奪ってやればいいわけだ。かといって、何もないのに止まったり進んだりするのは大変に迷惑だから、およそ高速走行に向かない一般道を走り続ければ良さそうだ。

内閣府ドメインに落っこちていた*1pdfでは、平均40km/h走行の燃費を100とした燃費指数で、10km/hなら50弱、20km/hなら70程度、30km/hなら90程度、と示されている。高速域では、70km/hがいちばん成績のいい120程度、そこからは燃費が下がり始めて100km/hでは90程度となっている。これらの数値の測定方法が不明であるが、もしこれが直線で計測されたのであれば、信号に引っ掛かりながらの走行ではより成績が悪くなると考えられる*2

だが、ここでひとつ重大な見落としがあった。燃費の単位はkm/L、つまり1Lあたりの走行距離である。対してカーシェアリング利用料金は時間に対する課金である。ならば、比較するべきは時間と燃料量の関係であるべきではないか。再計算して、h/Lを目指す。[km/L]/[km/h]で、kmを消去し[h/L]、1Lあたりの走行時間を導けるはずだ。上の相対値を基にこれを計算してみる。

  • 混雑した市街地での速度、10km/h…50/10=5
  • ちょっと空いてきた程度、20km/h…70/20=3.5
  • 一般的な市街地程度か、30km/h…90/30=3
  • 上で基準値となっていた40km/h…100/40=2.5
  • 信号のない幹線などか、50km/h…110/50=2.2
  • 最高燃費であった70km/h…120/70≒1.7
  • 80規制の高速も多い、80km/h…110/80≒1.4
  • 一般的な高速の最高速、100km/h…90/100=0.9

先ほどとは打って変わって、高速であるほど成績、つまり燃料1Lあたりの走行時間が短い。逆に言えば、同じ時間の走行であっても多く燃料を消費できる。信号などでの加減速による悪化を考えても、30km/hと100km/hでは3倍もの差が付いている。歴然である。

であればむしろ、高速道路での高速走行を延々と続けていれば黒字化を狙えそうだ。ただし、ここでネックになるのが、上で定めたコレである。

負担額…カーシェアリング利用料金、および車両の利用のために支払われた経費(高速料金代、駐車場代等)

まったく面倒なルールを定めてしまったものである。日本の高速道路というものは、延々走れば延々通行料を取られてしまうので、負担額が増大する一方である。これでは意味がない。

しかし、首都高速道路に裏技が見つかる。ETC最安料金の300円で、周回走行が可能になる。つまり、隣同士ののランプで出入りし、その間いくらでも首都高の道路を走れる。負担額の増大を、300円に抑えられるわけだ*3

首都高速内で最も早く走れるのは言わずと知れた湾岸線、規制速度80km/hである*4。ここを行ったり来たりできれば、相当距離も稼げそうだ。では、平均時速を求める。ルートは、湾岸線西行・東行を、大黒PAと9号深川線経由箱崎PAを使ってUターンしながら走るものとすると、

大黒PA~辰巳JCT 30.1km うち80km/h区間26.4km 70km/h区間3.7km
辰巳JCT箱崎JCT 5.3km 全線60km/h
総計35.4km

大黒PA~辰巳JCT 23分 うち80km/h区間20分 70km/h区間3分
辰巳JCT箱崎JCT 6分
総計約30分

→片道30分で35.4km、平均時速約70km

おお、大分いい感じじゃないか。ちなみに平均時速だけ見ると、最高燃費が出る速度である。では、一般の低燃費車と仮定して、20km/Lとして計算してみよう。1往復でちょうど1時間であるから、この往復1時間について考えると、

負担額…カーシェアリング利用料金800円、高速料金300円、計1,100円
燃料額…70.8[km]/20[km/L]*140[円/L]=495.6円
損益…-604円

黒字になんてなりっこねーじゃねーかバカヤロウ

*1:最高速度違反による交通事故対策検討会第三回の資料9番

*2:経産省 資源エネルギー庁の資料では、8%の悪化が期待できる

*3:ただし法的には相当にグレーな行為でありそう

*4:一部70km/h区間あり