azusatokohaの日記

人生ラバーダッキング会場

モノのインターネットは事実のみが発信されるという点でヒトのインターネットより優れている

Weather rock(天気予報石)というジョーク(あるいはミーム)らしく、世界中各地にあるとのこと。文言は各地さまざまだけれども、上の写真のものであれば、

  • 石が濡れていたら:雨
  • 濡れていないなら:雨ではない
  • 地面に影があれば:晴れ
  • 上面が白いならば:雪
  • 石が見えないなら:霧
  • 石が揺れていたら:強風
  • 上下動していたら:地震
  • 石がどこにも無い:竜巻

といった具合だろうか。ミームというか、そりゃ「見るまでもなく分かるだろうよ」というネタではあるんだけど、ことセンシングにおいては、閾値問題というか、誰が見ても結果が同じにならないといけないので、こういう基準物が必要になる。天気であれば雲量が一定の基準になっているし、降水量であるとか、氷塊の大きさで雹やら何やら名前が変わったりする。

特に常に観測を続けないといけないのであれば、観測者が途中で変化する可能性もある。そういった場合に、何か確定的な基準が無ければ観測データの精度は落ち、統計であるとか処理に使いづらい、あるいは全く使えないデータになってしまう。

それを機械的に実現しようというのであれば、機械的にやらなければいけない以上、一定の閾値を以て制御しないといけないので、実装上の要求から実現されるという話でもあるんだけれども、その場合においても、インプットが何であって、そのデータをどのように解釈処理して観測値を確定させるのか定義しておかないとならない。そういう意味で、センシングを行うのであれば、何を見て、何で判断するのかを定式化するのは重要。

ではその観測値はどのように使われるのか?というと、多くのデータは、それを後段の処理に流してお終いなんじゃないかと思う。たとえば扇風機の首振りを電子的に制御するとして、現在の首の角度を観測したならば、その観測データは今どの方向に首を振るべきかという解釈のみに使い、後段の処理に渡したら最早要らないデータとなる。

単純な制御に使う不要なデータは、機械的観測を行わせるうえで沢山出てくるわけだけど、それを本当に捨てて良いのかはまた別問題だったりする。それこそIoTの話だな。データを捨てるという事は、それが単に要らないデータである=データを貯蔵する意義が無いと同時に、そのデータを貯蔵するリソースが存在しないという事になる。More Memory, More Storage はつまりそのための設備、空間を浪費するという事に他ならない。その価値の無いデータならば、捨ててしまうのが得策だ。

しかし、インターネットへの接続が簡便になる ─大多数の需要家にインターネット接続環境が整備されたことで、ラストワンマイルが考慮不要となり、引込点から端末までの伝送に無線が一般化し「ラストワンフィート」さえ考慮不要となった今、あらゆる場所でインターネットへの接続が可能となった今、データの貯蔵に電源・空間を必要としなくなった。データの置き場は実体を十分に無視できるクラウドリソースであり、近傍の無線アクセスポイントまで到達可能な最低限の通信設備さえ備えていればいい。

制御を行う上では捨ててしまえるほど微細なデータであっても、それを時間的な連続性を持ったデータとして、あるいは空間的な広がりを持ったデータとして収集することが出来れば、新たに利用出来る情報としてまた制御や故障予兆検知なんかに使える場合もあるだろう。単一観測点・単一時点のデータであったものも、そういう高次元的な解釈を加えることが出来るのがIoTかなぁ。

それを行うにあたって今もっとも隅々まで普及していたネットワークに乗っかっているだけで、IoTが真新しい概念であるというわけではないんだけれども、そういう量的な解釈を新たに加えるという意味では、データ量が日に日に増大していき、User Generated Contents 以上に Machine Generated Contents が幅を利かせているインターネットにぴったりの概念だと思える。

ただインターネットというのは魔物で、何か目の前に収集できるデータがあるからといって、それを無造作に、無尽蔵に吸収していくだけでは、結局死にデータがこれでもかという位に増大してしまうだけだ。データは、データの観測値以上に、そのメタ情報、データに時間軸や空間軸、その他様々な意味合いを紐づける点こそが重要であって、それがあって初めて有用なデータベースとして存在するようになる。それに気付くのは、既に膨大なガラクタの数々を十分に溜め込んでしまった後なんだよな。マーフィーの法則

しかしアメダスとかいうネットワークを構築して中央で統計処理できるようにしている気象庁はすげぇな